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Ours is essentially a tragic age, so we refuse to take it tragically. The cataclysm has happened, we are among the ruins, we start to build up new little habitats, to have new little hopes. It is rather hard work: there is now no smooth road into the future: but we go round, or scramble over the obstacles. We've got to live, no matter how many skies have fallen. This was more or less Constance Chatterley's position. The war had brought the roof down over her head. And she had realised that one must live and learn.
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2010年 12月 07日
円山公園の隠しアイテム(3)~句碑二題
 円山公園の話を続ける。定食メニュー、単品メニューと挙げてきた流れに乗ると、今度は隠しメニューとか、裏メニューとかになる。「隠し」だの「裏」だのいうと、思わず絶句されるくらいのぶっ飛んだネタを用意しなければいけないところだが、そこまでのレベルには到達していない。かといって、まったくのお手上げという形にもならない。どこかの鳩ポッポとは違ってきちんと腹案があったので、それの写真を撮りに円山公園へ出向いてみた、というわけで、六日付けで投稿しておいた枝垂れ桜とポッポのオブジェはちょっとした寄り道なのだが、要は腹案とは園内に置かれている句碑のことである。「単品メニュー」を、説明板は置かれているのに注目されていないアイテムという括りにしたこと対して、これといった説明のない句碑あたりなら「隠しメニュー」と言えるのではないだろうか。

 ここでアンチョコ的な文学史の本を取りだして、そこに名前が出ている人の作品、たとえば松尾芭蕉の「古池や」の句や与謝野晶子の「やは肌の」の歌などが碑になっているケースを想定するのなら、少し違う。そういう文学史上でのエポックをなしたような作品やキーパーソンなら相応の注目も受けているはずである。ところが円山公園の敷地内にある碑は、そうしたビッグネームではなさそうなのである。近親や同人あるいは弟子筋にあたる人であればごく自然に敬愛の眼差しを向けるところだが、直接的なつながりのない第三者にしてみれば、思わずこう漏らしてしまう方々である、あのぉ……申し訳ないんですが、どちらさんでしょうか……と。

円山公園の隠しアイテム(3)~句碑二題_a0029238_4254866.jpg

 回りくどいこと言い方は止めて、具体的に紹介していこう。「働く少年の像」の近くに置かれている丸山海道氏・佳子氏夫妻の句碑である。海道氏は父君・鈴鹿野風呂とともに関西俳壇で重きをなしてきた方なので、俳句に関わりのある人であれば知悉しているに違いない。しかし当方のような門外漢なら名前に接する機会もない。そのため、せっかくの句碑も、たとえ碑に目が留まったとしても、「はて、これは何だろう?」という反応になってしまうし、くずし字が読めなければ、見なかったことにするのがオチである。そんな丸山夫妻の句碑だが、当方の場合は、道標や石碑全般に対する興味が歌碑や文学碑へも広がっていき、結果、その存在を知ることになった。「働く少年の像」の近くに、詳しくは分からないが文学碑があるという程度の認識はかねてよりあったが、『京の文学碑』(西野信明,白川書院,1971)や『京の文学碑めぐり』(京都新聞社編,1981)などからの情報で、海道氏と佳子氏の句碑であることを知ったのである。
朱の宮を神は住家として露けし  海道
傘さしてきく花の鐘父おん母おん  佳子
 手前にあって寝そべったように見える方が海道氏の句碑で、その後ろで立っているのが佳子氏のもの。それぞれの裏面には「昭和四十九年 葵句会」とあるだけなので、最初に見かけた時は漫然とやり過ごしてしまったのだが、上記の本にも紹介されていて俳句の中身も知るに及んで、見方も変わってきた。とりわけ、佳子氏の句の「父おん母おん」は、長楽寺と知恩院の梵鐘の音を「フォーン」「ボォーン」と聞き、そこに父の恩と母の恩を響かせたということなので、音と意味の重奏と言えそうな面白いレトリックである。この夫妻の句碑のように、積極的に調べてみると面白みも見えてくるのだが、そうでなければ、知らぬままに素通りしてしまうアイテム、そういったあたりを「隠しメニュー」としてみたのだが、どうだろう。

円山公園の隠しアイテム(3)~句碑二題_a0029238_4254993.jpg ところで、円山公園の敷地内には、実はもう一基、句碑が置かれている。書き出し部分をとって「忘れ傘の句碑」と呼ばれているようだが*、枝垂れ桜の周りや龍馬像のあたりを公園のメーンの部分と見ていると、この句碑は完全にそこから外れている。そのため存在からして視界に入ってこない。そういう物理的な意味では「隠しメニュー」というにふさわしいのだが、こちらの碑には、背面に説明が刻まれている。とりあえず、表の句と背面の碑文を紹介してみよう。
[表]
           久佐太郎
忘れ傘また来る謎の春の酔
[裏]
昭和三十八年三月
冠句研究 文藝塔社
冠句研究ニ殉ジ之ヲ文学的水準ニ昂揚シタル久佐太郎先生ノ偉業ヲ顕揚シ全国同志ト謀リ之ヲ建ツ碑表ハ京大教授田中周友氏ノ筆ナリ
桜月識
 実は太田久佐太郎の句は、どう解釈するのがいいのかよくわかっていないのだが、裏の碑文は意味明瞭。ただ冠句というスタイルについても説明が必要になるところなので、門外漢の当方がウダダウやるよりは文芸塔社のサイトに任せてしまうのがいい。ということで、ここでは「忘れ傘の句碑」の所在を示すだけにする。

*碑の位置が移動したのか、それとも実地調査を怠ったのか、某書にはこの碑の所在地を"瓢箪池を東に登った竜馬・慎太郎像と向かい合う場所"と紹介してあった。当方もそれを真に受けて、龍馬像の廻りをさんざん見て回ったのだが、当たり前ながら見つからない。結局、売店の方に教えてもらったのだが、その際、売店の方は「忘れ傘の碑」というような呼び方をしていた。


円山公園の隠しアイテム(3)~句碑二題_a0029238_4254925.jpg
円山公園西部(八坂神社~枝垂れ桜のあたり)


円山公園の隠しアイテム(3)~句碑二題_a0029238_4254842.jpg
円山公園東部(ひょうたん池~龍馬慎太郎像のあたり)


-おまけ-
円山公園の隠しアイテム(3)~句碑二題_a0029238_5304291.jpg
知恩院ならぬ円山公園で発見された”忘れ傘”



円山公園の隠しアイテム:(1)ラジオ塔/(2)瓦斯灯と夢の石碑/(3)句碑二題/(4)善導寺型燈籠etc/(番外)師弟愛の像


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by office34 | 2010-12-07 04:43 | 歌碑・文学碑など