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Ours is essentially a tragic age, so we refuse to take it tragically. The cataclysm has happened, we are among the ruins, we start to build up new little habitats, to have new little hopes. It is rather hard work: there is now no smooth road into the future: but we go round, or scramble over the obstacles. We've got to live, no matter how many skies have fallen. This was more or less Constance Chatterley's position. The war had brought the roof down over her head. And she had realised that one must live and learn.
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2013年 01月 18日
東山三十六峰、草木も眠る丑三つ時(2)
東山三十六峰なんちゃらほいの話を続ける。当初の見通しからでは手詰まりの気配だったので、別の調べ物をしていたのだが、「こういう情報がありますよ」といって司書さんが示してくれたのが『新国劇』(真鍋秀夫氏,元就出版社,2005)という本。劇団の隆盛期に携わった関係者による、行友や澤田らの回顧譚のような内容だが、あるいは関連する記述が出てくるかも知れないとのことだった。

先に東映版「月形半平太」の脚本を閉架から出してもらう際に、「東山三十六峰、草木も眠る丑三つ時」という台詞の出所を探していること、月形半平太が関係しているらしいことなどは伝えていたのだが、通り一遍の検索を越えて調べてもらえるとは思っていなかった。それだけでもありがたかったのだが、実はそれは序の口だった。とりあえず『新国劇』から舞台劇「月形半平太」のことが記されている箇所を探していたところ、「こういうのもあります」と続いてもってきてくださったのが『京都の映画80年のあゆみ』(京都新聞社編著・刊,1980)という本。「月形半平太」は映画化もされているので弁士の口上だった可能性もあるとは言うには言ったのだが、その方向から具体的に詰めてもらえるとは思っていなかった。

しかもである。『京都の映画80年のあゆみ』については、単に関係ありそうな書籍として提示してくれたに留まらず、ここにこう書いてますよと核心に迫る情報を示してくれたのである。
無声映画の花とうたわれた活動弁士たちは、美辞麗句を重ねたレトリックでファンを酔わせた。「東山三十六峰草木も眠る丑三つ時、突如として起こる剣劇の響き・・・・・・」(「尊王」)「春や春、京は絵の国恋のまち、加茂のせせらぎ音高く、むせび泣くよな川千鳥・・・・・・」(「月形半平太」)
 和洋合奏のリズムにのせ、興を盛りあげた独特の節まわし--。「活弁」は、日本が生んだ独自の形式だった。
これはピンポイントの情報ではないか。結論からいえば「月形半平太」ではなく、「尊王」という映画に付けられた活弁の口上だというところまで明らかになるのだが、これ以上は望みようのない資料である。

司書さんのご提示はさらに続く。活弁であればこの本ということで『活辯時代』(御園京平氏,岩波書店,1990)。これには本文とは別に「資料編」として「説明名文句集」がついていて、「尊王」も「月形半平太」も掲載されているのだが、あいにく「月形半平太」は冒頭ではなく、クライマックスでの口上が紹介されている。紹介されている全文をここに引用するのはたいへんなので、「尊王」から「東山三十六峰」が関わる部分と、「月形半平太」からいかにも弁士らしい美文調のくだりを引いておく。
伍東宏郎「尊王」
時恰あたかも幕末の頃、絃歌げんかさんざめく京洛の夜は更けて、下弦の月の光青く、東山三十六峰静かに眠る深き夜の静寂を破って突如起る剣戟の響き(音楽)。

国井紫香『月形半平太』
妖雲低迷なして嵐の前の静けさ、大乗院の大仏間には同志の者一人とてなく、なにかしら無気味な風が仏間の灯を消す。
突、月形の背後に白刃一閃、晨鶏しんけい再び鳴いて残月薄く、征馬しきりにいなないて、行人こうじん出づ、一波立って万波を捲き起す。殺陣殺調の幕は開かれた(音楽)。

さらにさらに、『尊王』が阪東妻三郎主演だということからだろう、こちらも参考になるかも知れませんといって『阪妻-スターが魅せる日本映画黄金時代』(山根貞男編,太田出版,2002年)と『阪妻物語-阪妻の人・芸・作品のすべて』(滝沢一/日本映画を愛好する会,1962)。前者には山根貞男の文章で「つぎの『尊王』(26)は「東山三十六峰静かに眠る丑満時・・・・・・たちまち起こる剣戟の響き」という活弁の説明文句で有名な幕末乱闘劇だが」という記述があり、後者には新洞寿郎の回顧談に「阪妻ファンの副産物は、伍東宏郎という弁士(映画説明者)と知り合になったことだ。この伍東は当時関西では阪妻をやらしてはナンバー1で、阪妻の伍東か、伍東の阪妻か、位に言われた名弁士で「尊王」の例の『東山三十六峰・・・・・・』、「邪痕魔道」の『花の吉原仲之町・・・・・・』の名調子は今だに耳に残っている位だ」とあるよし。

その他にも、『世界大百科事典』の「時代劇映画」の項目にある山根貞男の文章にも関連する記述があることや、『日本映画文献書誌』(牧野守編,雄松堂書店,2003)からは映画関連の雑誌記事を調べることができるといったことも教えていただいた。ここまでくると、もはや参考資料のご紹介といった次元ではなく、問題の解答を教えていただいたというべきだろう。スタート地点での準備がお粗末過ぎたといえばその通りなのだが、恐れ入りましたとひたすら感服するばかりである。


東山三十六峰、草木も眠る丑三つ時(1)/(2)/(3)/(4)/(5)



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by office34 | 2013-01-18 02:29 | 京都本・京都ガイド