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Ours is essentially a tragic age, so we refuse to take it tragically. The cataclysm has happened, we are among the ruins, we start to build up new little habitats, to have new little hopes. It is rather hard work: there is now no smooth road into the future: but we go round, or scramble over the obstacles. We've got to live, no matter how many skies have fallen. This was more or less Constance Chatterley's position. The war had brought the roof down over her head. And she had realised that one must live and learn.
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2009年 09月 03日
秀次事件~『太閤記』より(9) 辞世の歌
秀次事件をアウトラインのみの理解で終わらせていると、完全に抜け落ちてしまうのが妻妾たちが残したとされる辞世の歌だろう。現在、一般に利用できる『太閤記』の本文は、当方も底本として利用した新大系本だと思うが、その脚注では歌の解釈は大胆にスルーされている。新大系本『太閤記』は、脚注の重点が歴史史料としての注釈に置かれているためだが、もう少し文章それ自体の解釈にも力を入れて欲しかったところでもある。というわけで、ここに並べている解釈は、愚案のレベルにとどまる。複雑な技巧を凝らして難解を極める歌は少ないが、注釈なしで完全に理解できているのかと糺されると、かなり不安が残っていることも白状しておこう。




辞世の歌

 この日に誅された方々には辞世が残されている。まず一の台の御方。この方は菊亭右大臣藤原晴季卿の娘で、他の御方々よりは上の立場にあった。享年三十四歳。増田長盛や石田三成らの讒によって、あり得えない謀反の咎に問われたのは悲しくて仕方ない。どうにもならない悔しさは辞世の歌に込められた。
心にもあらぬうらみはぬれぎぬの
  つまゆゑかゝる身となりにけり
(御屋形様が太閤殿下をお恨みいたすなど、心にもないことです。けれどもそんな濡れ衣でも、衣が濡らされた時には褄にも水が掛かってしまうのと同じように、御屋形様の妻である私もまたこのように刑場に消える身となってしまいました。)
 続いて他の御方の歌、
お宮の御方十三歳 一の台御息女

うきはたゞおや子のわかれと聞きしかど
  同じみちにし行くぞうれしき
(辛いことは親子の別れと聞いておりましたが、このたびは母上と同じ道を行くことができるのが嬉しうございます。)
お長の御方十八歳 美濃の国竹中貞右衛門尉息女

時知らぬ花のあらしにさそはれて
  のこらぬ身とぞなりにけるかな
(季節を知らない風によって多くの花々が散ってゆきます。私もまた他の皆様方とともに、何も残さない身の上となってしまいました。)
お辰の御方十九歳 尾張の国山口少雲息女姫君あり

かぎりあれや何を恨みんから衣
  うつゝに来たりてうつゝにぞ去る
(もとより限りあるのが人の世でしょう。こういう憂き目にあったからといって何を恨みましょうか。私など夢のうちに栄華を極め、夢のうちに消えていくだけなのですから。)
おさこの御方十九歳 北野松梅院息女若君あり

残しをくかぞいろの上を思ふにも
  さきだつ身よりわきてかなしき
(残していく父と母の身の上を思うと、先立つ我が身よりもいっそう悲しく思われます。)
中納言の御方三十四歳 摂津の国小浜殿息女

時分かぬ無常の風のさそひ来て
  花もみぢも散りにけるかな
(人の世は定めのない無常といいますが、無常の風というものは季節を決めずに吹いてきます。このたびはその風に誘われて美しき桜も紅葉もともに散ってしまいます。)
おつまの御方十七歳 四条殿御息女

故もなき罪にあふみのかゞみ山
  くもれる御代のしるしなりけり
(理由もない罪に問われている私ですが、近江の鏡山に雲がかかっているのも、鏡が曇ったさかしまな御代の証です。)
おいまの御方十九歳 奥州最上息女

うつゝとも夢とも知らぬ世の中に
  すまでぞかへる白川の水
(私が生きてきたのは御屋形様のありがたいお心ざしに満たされたところであるとともに、言われのない罪に貶められる濁った場所でした。夢か現実かも分からないそんな世の中に暮らすことなく、私も清き白川の水を求めて返ってゆきます。)
按察使殿三十一歳 秋庭殿息女

濁る世の白川の水にさそはれて
  そこの水屑となるぞかなしき
(白川の水は清く美しいと聞きます。濁り多き世の中では白川の水に惹かれはするものの、美しい水に浸ると引き替えに水底の藻屑となってしまうのも悲しいものです。)
おあこの御方二十二歳 美濃の国日比野下野守息女

濡れ衣をきし妻ゆゑにしらいとの
  あやしや先とあとにたちぬる
(濡れ衣を着せられた御屋形様の妻であるがため、私めには何も知らされておりません。知る知らぬの縁でいうと、白糸すなわち生糸が織りなす不思議のようなものなのでしょうか、先に逝かれた御屋形様をすぐ後より追うこととなりました。)
おさなの御方十六歳 美濃の国武藤長門守息女

消えてゆく身はなかなかに夢なれや
  残れる親のさぞなかなしき
(消えてゆく私自身は、かえって夢のようにぼんやりとした気持ちとなっておりますが、この世に残る親はさぞや悲しい思いに満たされていることでしょう。)
お国の御方二十二歳 尾張の国大嶋新左衛門尉息女

君ゆゑになみだがはらの白川や
  思ひの淵にしづむかなしき
(御屋形様を思うゆえに涙が溢れてまいります。涙川ならぬ、この加茂の河原で御屋形様の潔白を訴えても報われず、追慕の思いに沈むのが悲しい限りです。)
およめの御方二十六歳 尾張の国堀田次郎左衛門尉息女

千代までもかはらじとこそ思ひしに
  うつりにけりな夢を見しまに
(いつまでも変わらないと思っていたのに、すべては変わってしまいました、私が夢を見ていた間に。)
お菊の御方十六歳 摂津の国伊丹兵庫頭息女

先だつもをくるゝもみな夢なれや
  空より出て空におさまる
(先立つのも遅れるのもすべて夢なのでしょう、因縁の織りなす仮の姿より生まれて元の場所に収まるのです。)
お牧の御方十六歳 斎藤吉兵衛尉息女

妻ゆゑにきえぬる身にしかなしきは
  のこれる母のさこそと思へば
(御屋形様の妻であるがために、この身が消えてしまうのはやむを得ないと思います。しかし、悲しいのは母が悲しみを抱えたまま後に残されることです。)
おあひの御方二十四歳 古川主膳息女京衆なり

思はずも墨染め衣身に添ひて
  かけてぞたのむ同じ蓮に
(予想もしなかったことに墨染め衣を身にまとうこととなり、心から願うのは御屋形様と同じ蓮に生まれ変わることです。)
お竹 捨子

夢にしも知らぬうき世に生まれ来て
  また知らぬ世に帰るべらなり
(夢に知ることもなかった憂き世に生まれ来て、またも知らぬ世に帰って行くのでしょう。)
おなあの御方十九歳 美濃の国坪内三右衛門尉息女

いかにとも何うらみけん難波がた
  よしあしもたゞ夢の世の中
(どうしようかと言ってもいったい何を恨みましょう、「何うらむ」の何の縁で言う難波潟のヨシやアシではないけれど、物事の良し悪しはとにかく夢の中のことなのです。)
お藤の御方二十一歳 大草三河守息女なり。

父母にまみえまほしく侍れども、ゆるしなければ
(父母にお会いしたかったのですが、お許しもいただけないので)
いかにせん親にしあはぬうらみこそ
  うき世の外のさはりなりけれ
(どうしようか、親に会えない恨みこそが現世の外にも繋がる障碍です。)
おきいの御方 生国近江の国

咲けば散る花の秋風立ちにけり
  たまりもあへぬ萩がえの露
(咲けば散るのが花の命運です。そんな花にむかって激しい秋風がたつと、ひとたまりもなく消えてしまうのは萩の枝にかかる一滴の露です。)
お虎の御方二十四歳 上賀茂岡本美濃守息女

限りある身をしる雨の濡れ衣よ
  そらも恨みじ人もとがめじ
(雨が降って衣が濡れるのが当たり前なら、人の命に限りがあるのもまた当たり前でしょう。それを知っているので、たとえそれが濡れ衣だといっても、雨を降らした空を恨みはしないのと同様に、わたくしは他人様に恨みを向けることはいたしますまい。)
お小督の御方二十一歳 和泉の国淡輪息女

生まれきてまたかへるこそみちなれや
  雲のゆききやいともかしこし
(人の世に生まれ落ちて再び戻ってゆくのが御仏の教えであるのなら、生じては消える雲のありようはなんともありがたいものでしょう。)
おこほの御方十九歳 近江の国鯰江才助息女

是は儒道のあらましを聞き得しとなり
(この人は儒教の概要を聞き知っているらしい)
我はただみだの誓ひも頼まじな
  出づる月日の入るにまかせて
(私は阿弥陀の誓いも当てにするつもりはありません。月や太陽が昇ったあとにまた沈んでゆくように、このたびのことは自然のごく当たり前のことなのです。)
少将 生国越前

あめつちのそのあひだよりうまれきて
  同じみちにし帰るべらなり
(人はみな、天地の間に生まれて、また同じところにもどってゆくのでしょう。)
おこちゃの御方二十一歳 最上衆なり

濡れ衣をきつつなれにしつまゆゑに
  身は白川の淡と消えぬる
(御屋形様に濡れ衣が着せられたのであれば、衣に馴染む褄のごとく、妻として御屋形様のお近くにおいていただいておりましたゆえに、この私も清い白川に浮かぶ儚い沫のごとく消えてゆきます。)
左衛門の督三十八歳 河内の国岡本彦三郎母なりけり
これよりは万御用人也
(これからは諸事にわたる使用人たちである。)
なかなかに花のかずにはあらねども
  つねなき風にさそはれにけり
(私めは御屋形様のお側にはべる麗しい方々と並ぶものではありませぬが、普通ではない激しい風にあって花々が散るように、一緒に散らされてしまいます。)
右衛門の督三十五歳 播磨の国村善右衛門尉妹なり

とてもゆくみだの御国へいそげただ
  御法の船のさをなぐるまに
(これから向かうことになる阿弥陀の国へどうあっても急いでもらいたいものです。救済の船の棹が投げられるとともに、浄土に到るわけにはいかないのでしょうか。)
お今四十三歳 近江の国高橋息女

生国と名をよみかなへし事神妙なり
(生国と名前を歌に詠みこんだのはみごとだ。)
何事のとがにあふみの今なれや
  むしもあはれをなきそへにけり
(いったいこのわたくしはどういう咎めにあったのでしょうか。近江の今という名前ではありますが、罪にあった身の今この時となっては、虫の声も悲哀を添えているように聞こえます。)
東殿六十一歳 美濃の国丸毛不心斎女房

夢の間に六十あまりの秋にあひて
  なにかうき世に思ひのこさむ
(あっという間に六十回を余す秋に会って参りました。この年になっていったいどのような未練を、こんなつらい世の中に残すというのでしょうか。)
 これらの歌は、かねてより覚悟を決めて皆々方が詠んでおいたのだろう、それを一巻にまとめて出されたものである。
(続)

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by office34 | 2009-09-03 13:12