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Ours is essentially a tragic age, so we refuse to take it tragically. The cataclysm has happened, we are among the ruins, we start to build up new little habitats, to have new little hopes. It is rather hard work: there is now no smooth road into the future: but we go round, or scramble over the obstacles. We've got to live, no matter how many skies have fallen. This was more or less Constance Chatterley's position. The war had brought the roof down over her head. And she had realised that one must live and learn.
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2010年 10月 06日
京都の地名表記は通り名のみにあらず
 昨日の予告通り、椿寺シリーズの四回目はナシなわけだが、椿寺の住所である「北区一条通紙屋川西入」について少々触れてみる。というのも、椿寺を訪れるに先立って一枚の仁丹版町名板が目に留まっていたからである。

京都の地名表記は通り名のみにあらず_a0029238_243339.jpg京都の地名表記は通り名のみにあらず_a0029238_2434100.jpg

 椿寺のすぐ近くにある酒屋の建物にその一枚は貼られていた。酒屋の大きな看板の裏に隠れていたのだが、剥落して用をなさない大きな看板をみると、なんとなくその裏にかのブツがいそうな気配がぷんぷんしている。それで隙間を覗いてみると案の定、状態の良さげな一枚が貼られていた。それが「一条通紙屋川東入」である。この仁丹版が今回の鍵になるのだが、こういう場所にこういう一枚がありましたというだけなら、写真に撮ってお終いである。ところが「一条通紙屋川東入」という地名表記が何となく気になってしまった。椿寺の住所表記とは「西入」「東入」の違いはあるにせよ、同じ書き方である。

 交差する通り名を用いて地名とするのは、仁丹版に限らず京都の特徴とされている。これが、こと仁丹版に限定すると厳密な文法めいたものがある。それは「○○通××」といった書き方で、最初に出てくる通り名には「通トオリ」を付けておき、後ろの方は省略するスタイルだ。「河原町通夷川上ル」「夷川通河原町東入」というように、角の柱に二枚隣りあって貼られているケースを見ると、ルール適用の厳密さも窺われる*。その文法に照らすなら「一条通紙屋川東入」は[一条通と紙屋川通の交差点から東へ入った所]という意味になる。
*ちなみに、この二枚は貼られていた建物が消えたため、河原町通を挟んだ向かい側に引っ越したとのこと。ずんずんさんの報告
参考までに:引っ越し以前の姿


 さて、それはそうとして、「一条通紙屋川東入」の仁丹版を見てハテ?と思ったのは「紙屋川」についてだった。仁丹版の文法に従うと「紙屋川通」と解釈しなければならないのだが、これは通り名ではなくて河川名だろうと思ったのである。「紙屋川通」と呼ばれる道路は、確かに存在する。河川の紙屋川に沿った東側の道路がそういう名前で呼ばれており、WEB上でも「紙屋川通仁和寺街道上る」とか「今出川通(紙屋川通交差点~加茂大橋西詰の間)」などの記述が目に留まる。しかし、その「紙屋川通」というのは、かなりマイナーな通り名であり、「紙屋川」とだけ言われると、河川の名前と考えるのが普通である。そのため「一条通紙屋川東入」も[一条通が紙屋川を越えるところから東へ入った所]と考えるのが自然なのである。もっとも、いわゆる「紙屋川通」は紙屋川に沿ってそのすぐ東にあって、[一条通が紙屋川を越えるところから東へ入った所]と[一条通と紙屋川通の交差点から東へ入った所]とは、実質的には同じ内容を表している。

 これだけであれば、どうでもいいことと言って笑われそうだ。通り名であろうと、河川名であろうと、結果的には同じなんだから、何をゴチャゴチャやってるんだといったところだろう。確かに「一条通紙屋川東入」だけの話なら、そうかも知れない。しかし、こんな話にこだわったのは、実はとある仁丹版町名板が伏線となっている。それは、どっちで解釈しても結果は同じといういい加減なものではなく、明確に通り名ではなくて河川名であるとせねばならない一枚である。いわく「七条通高瀬川西入」。

京都の地名表記は通り名のみにあらず_a0029238_243498.jpg 「七条通高瀬川西入」。ここでは「高瀬川通」なる道を想定する必要はない。通り名であれば「西木屋町通」であり、同じ場所に貼られているライオンズクラブ版では「七条通西木屋町通西入」となっている。つまり「七条通高瀬川西入ル」は交差する通りの名で表現しているのではなく、高瀬川という河川名を使っていると断定できるのである。この仁丹版を目にした際には、特殊な一枚なのだろうと考えていた。高瀬川が、南北の道路と同じように、まっすぐ流れていることや、知名度が十分にあるなどの事情があるから、通り名に準じた使い方ができるのだろう、そう考えたのである。ところが、そうしたところへ登場したのが、「一条通紙屋川東入」の仁丹版であり、椿寺の住所「北区一条通紙屋川西入」である。事例の数でいえばわずか三例、河川の数でいえば高瀬川と紙屋川のみ、たったそれだけなので、全部ひっくるめて特例と見做すこともできなくはない。しかし「京都の地名は通り名を基準にして表現する」というのは一種の神話にすぎず、有名な河川名を以て代用することもあるという附則の存在を考えてみてもいいのではないだろうか。

 とはいっても、京都で一番有名な「鴨川」を住所表記につかっている事例は知らない。住所の記述で「丸太町通鴨川東入」なんて書いたものがあったりすると、ホォと感心もするのだが、そういうケースにはお目に掛かったことがない。鴨川に寄り添う川端通があるから……だろうか。なお「賀茂川」や「高野川」、あるいは「天神川」なども有名な河川だが、いわゆる碁盤目から外れるので、これらは対象外だ。あと可能性があるとすれば祇園界隈の「白川」だろうか。ただ、こちらも「花見小路通白川下ル」とか「縄手通白川東入ル」などの事例は記憶にない。


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by office34 | 2010-10-06 02:59 | 町名看板