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Ours is essentially a tragic age, so we refuse to take it tragically. The cataclysm has happened, we are among the ruins, we start to build up new little habitats, to have new little hopes. It is rather hard work: there is now no smooth road into the future: but we go round, or scramble over the obstacles. We've got to live, no matter how many skies have fallen. This was more or less Constance Chatterley's position. The war had brought the roof down over her head. And she had realised that one must live and learn.
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2011年 09月 19日
京都名家墳墓録
寺田貞次著『京都名家墳墓録』という本がある。歴史になにがしかの名前を刻む有名人の墳墓を訪ね、その墓碑銘等を書き取ってきた本で、初版が出たのが大正十一年。そしてご子息の名義で昭和五十一年に復刻版が出されている。

このブログでは[歌碑文学碑]が一つのカテゴリーとなっていることもあって、その手の碑文類には関心をもっている。しかし、設置されてから数十年程度、長くみてもせいぜい戦後設置のブツなら刻字も読めるのだが、明治や江戸時代モノとなると一筋縄には行かない。摩滅もあるし、それ以前にくずし字が読めない等の事情もでてくるのである。そうした時に『墳墓録』はたよりになりそうな一冊である。


たとえば、新京極は誠心院の池西言水墓。墓碑の横に置かれていた副碑に触れたまではよかったのだが、肝心の刻字については放置モードになっていた(参考)。「此度爰に地を占し■■を加へ永■に■保存所や」としておいたのだが、読めない部分がそのままになっていたのである。

『墳墓録』にはこの墓碑も収録されており、それによれば
此度爰地ヲ占シ修造ヲ加ヘ永世マデ保存所ヤ
とのこと。碑文の仮名文字はどうみても平仮名なのだが、それをわざわざカタカナに直している点、あるいは「爰に地を」「爰地ヲ」の違いなど、そのまま首肯できない部分はあるが、解読できなかった漢字や後半部分などは、あァなるほどと言って手を拍ってしまった。「修造」あたりは、そう言われると、そうとしか読めないじゃんとなってしまうのだが、文脈も分からない段階では候補となる文字も浮かばない、結果、まったくのお手上げになっていたのである。「永世」も、形からだけの判断で「貰」かなにか、それに近い字体だろうと思っていたが、「世ま」の二字との可能性は考えていなかった。このあたりは素直に翻字能力のつたなさを恥じねばならない。

今回、この本を取りあげたのは、なにも池西言水を蒸し返すためではない。そもそも、この『墳墓録』自体、最近までそうした本があることも知らなかった。にも関わらず、したり顔で本の紹介を始めたのは、内容的にも充実していて、使い勝手がありそうだと思ったからなのだが、これに行き着いたのは、目下のテーマ金福寺の芭蕉碑に関わっていた流れからである。

金福寺に芭蕉庵とよばれる草庵があり、その近くに松尾芭蕉を顕彰する碑が建てられている。芭蕉庵再興と建碑が与謝蕪村を領袖とする夜半亭一派の仕業だったのは知っていたが、それ以上の詳しい事情が分からず、碑文の解釈もままならない状態にあった。樋口道立という人物が関与しているのは分かっても、その素性も掴みきれない。

そうしたところ、コメントをよせてくれた方の情報から『穎原退蔵著作集13』所収の「道立」なる一文の所在を知り、さらにその文中で触れられていた『墳墓録』を知ったのである。穎原退蔵が件の一文をまとめたのは大正十二年のこと。雑誌に掲載すべく執筆された段階では『墳墓録』は未見だったようで、道立墓の件も最初は付記として少しだけ触れられたにすぎなかったらしい。その文章が後に大幅に加筆されて単行本『蕪村』(昭和18年、創元社)に収録され、それが改めて著作集に採られたとのことである。

さて、これらの資料のおかげで、断片的に散らばっていた芭蕉庵関連の情報が比較的わかりやすい形に整理されてきた。次回以降、碑の本文を確定させたうえで道立、清絢、そして碑文の解釈といったあたりを順次見てゆくことにする。


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by office34 | 2011-09-19 23:17 | 歌碑・文学碑など