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Ours is essentially a tragic age, so we refuse to take it tragically. The cataclysm has happened, we are among the ruins, we start to build up new little habitats, to have new little hopes. It is rather hard work: there is now no smooth road into the future: but we go round, or scramble over the obstacles. We've got to live, no matter how many skies have fallen. This was more or less Constance Chatterley's position. The war had brought the roof down over her head. And she had realised that one must live and learn.
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2005年 04月 03日
週刊 日本の伝説を旅する(加賀・越前)
 一口に伝説と言っても、いろいろな種類があるわけだが、オカルト系、怪談系が面白い。ということで、『日本の伝説を旅する』第八号では、「早百合ぶらり火」に着目する。
 「ぶらり火」というのは人魂のことであり、雨のそぼ降る夜に明滅しながら、上下左右にぶらぶらする様子から、そう呼ばれる。今回紹介されている話は、佐々成政の愛妾早百合が非業の死を遂げた後、その怨霊が成政を滅亡に追いやるといったストーリーで、四谷怪談パターンというか、尽きせぬ怨恨がその相手一人に執念深く付きまとうというものになっている。

 ところが標題にもなっている「ぶらり火」の話は、やや色合いが違っており、早百合が処刑された河原には夜な夜な人魂が飛び交うようになったとか、女の生首をもった鬼が出没したとかの形で語られることが多い。佐々成政個人を離れ、いわゆる地縛霊パターンになっているのである。このあたりはタイトルと中身がズレているような感も与えるのだが、巨視的な見方をすれば、早百合以上に、佐々成政その人こそが伝説の主人公としての資格を持っていることの証にもなる。

 今回の記事、「早百合ぶらり火」の筆者は藤本義一である。記事のアウトラインは佐々成政を破滅に導く早百合の怨霊の話になっているのだから、テーマから逸脱しているとは言えない。しかし記事全体のトーンは、早百合のほうが狂言回しで、佐々成政が主役の仕上がりになっている。タイトルが最初に与えられて、それに従って書いた文章なのかどうかは分からないが、早百合の怨霊をテーマに書くべきところが、”佐々成政外伝”のような記事になってしまったとすれば、佐々成政の持つ磁場がよほど強いということなのだろう。

 伝説の主人公は、まずは悲劇的でなければならない、とはよく言われる話である。その点、佐々成政は要件は十二分に満たしている。数年前の大河ドラマ『利家とまつ』では、前田利家とともに、馬鹿馬鹿しさを通り越して滑稽なほどヒーロー仕立てにされていたが、伝説の中の佐々成政はああいうものではない。今回の記事の中にも触れられているのだが、直情径行にして粗暴かつ誇大妄想癖云々と、なかなか救いがたい性格の人物だったようだ。そういう性格の人物が安穏とした老後を送れるはずはなく、破滅的生涯を突き進んだ・・・というか、破滅的生涯を突き進んだ人物だからこそ、その性格は直情径行にして粗暴かつ誇大妄想癖云々と語られるものなのかも知れない。いずれにせよ、早百合ぶらり火の話も、実際のところは佐々成政伝説の一ページに過ぎないのである。

 『日本の伝説を旅する』シリーズでは、巻末に井沢元彦のエッセイ「伝説の住人」が添えられているのだが、今回は佐々成政ではなく、八百比丘尼をピックアップして、なおかつその扱いが浅薄を極めるありさまだったから、その点は非常に残念である。織田信長や豊臣秀吉のような、歴史的な偉業を成し遂げたわけでもないのに、広くその名前が知られている佐々成政は、まさしく伝説の中でしか生きていない人物なのだから、成政のほうを掘り下げてもらいたかった。

 ちなみに、井沢元彦がエッセイで取りあげた八百比丘尼のほうだが、長寿伝説で取りあげてどうするんだというのが、当方の意見である。八百比丘尼のように、全国各地に足跡を残したのは、行基か弘法大師レベルであり、江戸時代の初期(だと思うが)といった限定された一時期に突然爆発的に巷間に広まった話なんて、まさに口裂女並み。電波メディアのなかった時代だから、巷間説話が全国に広まった事情は口裂け女の場合とは異なるが、噂とか伝説とかいったものの生成過程を推測するには、格好の材料になる話なのだ。それなのに、ありふれた長寿伝説のひとつとしてしか見えないなんて、がっかりのひと言に尽きる。ま、こちらのほうも機会があれば、もう少し書いてみよう。

参考 「佐々成政とクロユリ伝説」



世界文化社「週刊 日本の伝説を旅する」公式サイト


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by office34 | 2005-04-03 11:08 | 伝説を旅する(モニター)